実験動物50年の人と業績/写真
(00/9/22、01/2/26、01/05/28 修正)
「わが国の実験動物科学を礎いた人々展」
掲示写真(第40回実験動物学会総会/仙台1993 日本実験動物科学技術大会2001/横浜2001)

【故人】

安東洪次(1893〜1976):東京大学名誉教授、(財)実験動物中央研究所理事長
実験動物の品質向上と動物実験の必要性を感じ、日本実験動物学会の前身である日本実験動物研究会を設立し初代理事長に就任、わが国の実験動物学創設期に指導的役割を果たした。

田嶋嘉雄(1910〜1990):国立予防衛生研究所部長、東京大学名誉教授、(財)実験動物中央研究所顧問、(社)日本実験動物学会名誉会員
安東洪次とともの日本実験動物研究会を創設し、安東先生に次いで日本実験動物研究会理事長をつとめ、わが国における実験動物科学の振興と実験動物の確立に計り知れない貢献をした。

小熊 桿(1885〜1971):国立遺伝学研究所初代所長
実験動物研究会の創設に参画、ヒト細胞遺伝学における業績が著名である。

駒井 卓(1886〜1972):国立遺伝学研究所
実験動物研究会創設に参画、日本にはじめて実験用ショウジョウバエを導入した。

中原和郎(1896〜1975):国立ガンセンター
実験動物研究会の創設に参画。戦後の日本のがん研究の指導者の一人。4-ニトロキノン、1-オキサイドの発見とトキソホルモンに関する研究が有名。

中村淳治(1902〜1975):(財)日本生物科学研究所所長
実験動物研究会の創設に参画。人、家畜及び家禽の伝染病の診断及び予防法の確立に貢献した。

牧野佐二郎(1906〜1989):北海道大学理学部附属動物染色体施設 
昭和20年後半より、ラット・マウスの近交系の育成に着手。その系統保存を通して、わが国実験動物科学の進歩に寄与した。

小山良修(1897-1991):東京女子医科大学名誉教授
脳下垂体摘出など、主としてラットを用いた各種実験手技を確立。実験動物学の進歩に動物実験手技の面から寄与した。

野村晋一(1916〜1991):東京大学名誉教授、(株)CSKリサーチパーク
ヒトと動物の比較生理学の研究を通して、実験動物学の発展に貢献した。

鈴木 潔(1922〜1992):東京大学医科学研究所 実験動物施設教授
安東、田嶋の右腕として、わが国の実験動物学の確立と実験動物界の発展に寄与した。特にDDDマウスの作出と供給体制を確立し、実験動物技術者、生産者のレベルアップのために大きく貢献した。

中川雅郎(1931〜1990):国立予防衛生研究所獣疫部
実験動物の感染症の研究及び教育、行政面での指導、実験動物の質的向上に多大な貢献をした。

土川 清(1926〜1991):国立遺伝学研究所
マウス遺伝学研究者。機関誌「実験動物彙報」(現「実験動物」)の初代編集委員として実験動物学の基礎確立に寄与した。

吉田俊秀(1920〜1986):国立遺伝学研究所
遺伝学を通じて、実験動物の遺伝的統御に貢献。クマネズミ種分化に関する細胞遺伝学的研究で高名。文部省特定研究「実験動物の純化と開発」を主宰した。

佐藤 博(1923〜1984):(財)佐々木研究所
ドンリュウラットの特性を明らかにし、がん研究への実験動物利用に多大な貢献をした。

佐藤隆一(1920〜1984):(株)実験医学研究所
ドンリュウラットを開発。がん研究など多方面の研究発展に役立て、わが国の医学研究者に実験動物学への関心を高めることに貢献した。

吉田富三(1903〜1973):(財)佐々木研究所、長崎大学、東京大学、(財)癌研究所
ドンリュウラットの有用性に着目、その応用を通じて、がん研究の指導、発展に寄与。化学発癌物質によるラット肝癌の成功。ラット吉田肉腫、ラット腹水肝癌の確立とそれを用いた生物学、治療学に貢献した。

山本 正(1917〜1981):東京大学医科学研究所 所長
わが国の実験動物確立のため海外の情報収集並びに官庁への働きかけに傾注、また医学研究における実験動物の必要性の啓蒙に大きく貢献した。

河合清之(1922〜1982):産業医学総合研究所
吸入毒性の研究を通して、長期動物実験の重要性に着目、特にラット長期飼育実験を通して、わが国の実験動物学発展に寄与した。

西田周作(1908〜1992):東北大学名誉教授
家畜育種学講座担当教授。わが国の畜産学の基礎を作った一人で実験動物の環境基準作成等に参画、活躍した。

佐藤節子(1922〜1990):日本ラット(株)
夫君隆一博士とともにドンリュウラットの開発と供給に努力し、実験度物生産の組織化に尽力、貢献した。

日柳靖彦(1914〜1988):(株)日本医科学動物資材研究所
日本における実験動物供給事業の近代化と質的向上に貢献した一人。

高木芳一(1917〜1993):日本エスエルシー(株)
戦後44年に亙り、強い信念の下に一貫して実験動物界をリードし、良質な実験動物生産供給を通じて、医学、生物学研究の進展に寄与した。

倉益茂実(1927〜1996):(財)日本生物科学研究所理事長、所長、 日本実験動物協会会長、麻布獣医学園理事長
日本実験動物研究会、日本実験動物協会および疾患モデル研究会の創設に参画。疾患モデル動物研究会の創設に参画。家畜と家禽の実験動物化を推進し、ウサギ、ニワトリ、ウズラおよびハムスターについて多数の近交系と疾患モデル系の確立に貢献した。

大島康夫(1916〜1995):
朝鮮総督府、(財)日本生物科学研究所を経て第一製薬(株)へ。その後(株)船橋農場、(株)生物化学技術研究所へ。日本実験動物研究会設立に参画。日本実験動物研究会常任理事として我が国実験動物科学の発展に尽力。また日本細菌学会、日本化学治療法学会、日本毒作用研究会などの役員を通して実験動物界と制約協との橋渡し約にも注力。

山田淳三(1930〜1996):京都大学教授、京都大学医学部附属動物実験施設長、京都大学名誉教授
日本実験動物学会の各種委員を務め、実験動物学の発展に多大な貢献をした。研究面ではラットの遺伝学的基礎を構築し、その後の発展に大きく貢献した。実験動物学教育、技術者教育にも熱心で関西実験動物研究会を育成した。

川俣順一(1918〜1998):大阪大学教授、大阪大学微生物病研究所所長、大阪大学名誉教授、日本実験動物学会理事長、同学会名誉会員
抗生物質学、実験動物学、その他多くの分野で優れた研究業績をあげ、医学教育及び大学、研究所の管理運営に尽力し、わが国の医学界の進歩に多大な貢献をした。昭和53年(1978)に発生した流行性出血熱(腎症候性出血熱)の特定研究班を組織し、その制圧に尽力した。

近藤恭司(1920〜1994):名古屋大学教授、名古屋大学名誉教授
わが国の実験動物学の先駆者の一人であり、実験動物の遺伝育種の起訴を確率した。近交系マウスの育成をはじめ、多くの疾患モデル動物開発に努め、医学研究の進展に大きく貢献した。人材育成に熱心で多くの学徒を輩出し、地区研究会として最初に東海実験動物研究会を設立した。

追加すべき方
宮川正澄、蕨岡小太郎

仙台1993ではずされた方
中和正徳(東京大学、実験動物研究会創立委員)
金子順一(武田薬品工業:生物学的製剤研究分やにおける実験動物学の向上に貢献)
江上信雄(東京大学理学部、実験動物としてのメダカの確立に尽くされた)
田波潤一郎(千葉大学、わが国の無菌動物の始祖として活躍され、ビニールアイソレーターを開発された)

【功労賞受賞者】

山内忠平(1994)
今道友則(1996)
田中利男(1997)
佐藤善一・藤原公策(1998)
輿水 馨・仲川憲一・山之内孝尚(1999)
中野健司・猪 貴義・本庄重男(2000)
富永 聡・半田純雄・信永利馬(2001)

【文化功労賞】

野村達次
◇田嶋基金をもとに日本実験動物学会賞(奨励賞)設置

第1回学会賞(平成元年1989第36回東京)
伊藤喜久治「実験動物における腸内細菌叢の標準化の研究」

第2回学会賞(平成2年1990第37回京都)
鍵山直子、高倉 彰、寺田英司「実験動物の微生物モニタリング用ELISAキットの開発」松本清司「実験動物の骨髄細胞に関する研究」

第3回学会賞(平成3年1991第38回札幌)
芹川忠夫「自然発生てんかんラットの開発」

第4回学会賞(平成4年1992第39回東京)
海老野耕一「実験動物の食糞行動に関する研究」山崎寛治「実験動物の骨・軟骨における形態学的研究」

第5回学会賞(平成5年1993第40回仙台)
近藤 靖「ラット尿、涙液、唾液から検出される標識遺伝子座の研究」

平成6年1994第41回筑波
功労賞(新設):山内忠平「実験動物の環境統御に関する研究」
奨励賞:中潟直巳「マウスの卵子および初期胚の超急速凍結保存に関する研究」

平成7年1995第42回横浜
奨励賞:木村 透「メキシカンヘアレスドッグ由来ヘアレス犬の作出と皮膚科領域における有用性の研究」
奨励賞:清澤岩水「ラットにおける視覚系の加齢性変化に関する研究」

平成8年1996第43回新潟
功労賞:今道友則「実験動物としてのラットの育種・繁殖と疾患モデル動物育成」
奨励賞:杉山文博「発生工学技術による高血圧・低血圧モデルマウスの作製とその解析に関する研究」

平成9年1997第44回大宮
功労賞:田中利男
安東・田島賞(新設):西村正彦「実験動物の育種学的研究ならびに育種技術の確立」
奨励賞:平山和宏「実験動物としての異種動物フローラマウスの有用性」

平成10年1998第45回松本
功労賞:佐藤善一、藤原公策
奨励賞:山海 直「サル類における発生工学的基盤技術の開発」

平成11年1999第46回市川
功労賞:輿水 馨、仲川憲一、山之内孝尚
安東・田島賞:牧野 進「I型糖尿病モデルNODの育種」
奨励賞:伊川正人「精巣特異的シャペロンと精子受精能について」
    小倉淳郎「雄性配偶子としての精細胞の利用法の確立」

平成12年2000第47回徳島
功労賞:猪 貴義、中野健司、本庄重男
安東・田島賞: 水谷 誠「ニワトリおよびウズラにおける近交系と疾患モデル系の確立」
奨励賞:平澤健介「新しい発症機構によるウイルス性糖尿病モデルの提唱」
     森 政之「分子遺伝学的手法による疾患モデル動物の解析」

平成13年2001第48回横浜(2001大会)
功労賞:富永 聡、半田純雄、信永利馬

野村達次(実験動物学会名誉会員)
昭和40年(1965)12月小島三郎記念文化賞「実験動物の開発とその研究」
昭和50年(1975)11月日本医師会再考優功賞
総和59年(1984)11月紫綬褒章
昭和63年(1988)1月国際実験動物会議ミュールブック記念賞
平成4年(1992)4月吉川英治文化賞「実験動物中央研究所長として医学・薬学の発展に貢献」
平成9年(1997)11月文化功労賞「実験動物の開発・改良研究に対する長年の貢献」

川俣順一(1918〜1998)(実験動物学会理事、名誉会員)
昭和53年動物実験の場で発生した腎症候性出血熱の文部省特定研究班長(昭和53〜59)、実験動物学会理事長:昭和54年1月〜63年5月
平成4年4月勳二等旭日重光賞